市長の回答

1.メガソーラー建設を巡る裁判に関わる市側の対応の意思決定機関は,どのように構成,運営されているのでしょうか?

(回答)特に重要な裁判に関しての本市の対応につきましては、訴訟事件の事務を行う部署が担当となり、必要に応じて、弁護士に相談し、様々な観点からの御意見や御助言をいただいた上で、最終的な意思の決定は市長が行っております。このため、メガソーラー建設を巡る裁判のうち、河川の占用許可に関する訴訟事件につきましては、河川の占用許可の事務を行う建設部建設課が担当し、宅地造成等規制法に関する訴訟事件につきましては、宅地造成等規制法の事務を行う建設部都市計画課が担当となり、訴訟代理人弁護士との協議を踏まえ、市長までの決裁を受けるなどして、裁判に対応しております。

2. 貴職は確約書作成に手続き上の問題があったと述べていますが,何が問題で,本来はどうすべきだったと考えていますか?そして今回はなぜ本来の手続きを取らなかったのですか?

(回答)確約書作成における手続上の問題につきましては、当職と建設部担当職員1人により、通常の意思決定の手続を経ることなく、事業者側の作成した様式に、当職が署名し、事業者に提出したことであります。確約書を作成する場合の本来の手続につきましては、確約するか否かについて、市の意思を決定してこれを実施するための必要な事項等の処理についての原案を文書により起案し、起案文書の重要度等により決裁区分を定め、意思決定を行う権限のある者(市長)までの決裁を受け、施行することとなります。また、なぜ本来の手続をとらなかったのかの御質問についてでありますが、本来の手続を行う以前の問題として、係争中に事業者に接触するべきではなかったものと深く反省しているところであります。この度の係争中における事業者への接触及び本来の、事務手続を取らずに確約書を作成したことにつきましては、これまで政治家として自らが行動する意識が強く、そのことが自治体首長として事務手続処理を適正に執行するという認識に勝ってしまったことによるものと考えております。

3.事業者からの損害賠償請求のリスクについて,貴職は市議会で市側の弁護士から「金額は計り知れないが,リスクはある」と言われたと答弁しています。その認識は質問1で質している市側の意思決定関係者に共有されていたものでしょうか?そうであれば,そこではこのリスクをどう評価して対応することにしていたのでしょうか?そうでないならば,なぜ貴職のみがこのリスクを現実的なものとみなして,「その低減のために」確約書を作成せざるを得ないと判断したのでしょうか?

(回答)事業者からの損害賠償請求のリスクにつきましては、静岡地方裁判所による令和2年5月22日付け判決言渡しにおいて、事業者の主張を全面的に支持し、市長に裁量権の逸脱又は濫用などの実体的な違法があったと認めたことから、同日から令和3年4月21日付け控訴審判決が言い渡されるまでの間においては、当該一審判決の内容が確定することにより、損害賠償請求のリスクが高まると考えておりました。この間におけるリスクの評価につきましては、河川占用不許可処分の判断に当たり、市長に裁量権の逸脱や濫用、不当な動機目的、平等原則違反などの実体法上の違法が認められた場合には相当の損害賠償請求のリスクがあるものと評価していたところであり、控訴審判決の内容を踏まえた対応をすることとしておりました。しかしながら、結果として控訴審判決が言い渡される以前に確約書を作成したことについては、前項2のとおりであります。

4.貴職は「私から事業者側に対し損害賠償の考えを確認したところ、事業者側代理人から損害賠償額を最小にする努力を求められたことから、確約書を交わすに至った」と述べています(2021年6月30日,市議会全員協議会)。そして確約書では「当職は(中略)関係者の損失を最小限とするため」に,第1項では宅地造成等規制法に関わる審査について「迅速に対応する」とあり,第2項では東京高裁で敗訴の場合、河川占有許可を「速やかに」行うとしています。これは事業者が損害賠償請求をすることを認めたうえで,市が損害賠償請求の対象期間を短縮するために,一方的に審査と許可を早急に行うことを約束しているにすぎません。そこには事業者側の損害賠償請求の放棄あるいは請求額の減額などについては何も書かれていません。これでは貴職が述べておられる「多額の損害賠償へのリスクを回避する最良の方法」(伊豆新聞2021年8月27日)とは言えないのではないでしょうか? むしろ訴訟や損害賠償へのリスクを高めているように思います。いかがお考えでしょうか? それとも損害賠償請求に関して,別途事業者と何らかの取り決めをしているのでしょうか?

(回答)確約書を提出した経過につきましては、市議会で説明申し上げたとおり、当職から事業者側に対して損害賠償の考えを確認したところ、事業者側代理人から、損害賠償額を最小にする努力を求められたことから、令和3年2月9日付けで、事業者側代理人の作成した確約書に署名し、提出したものでありますが、このことは、事業者が揖害賠償請求をすることを認めたものではなく、控訴審判決が一審判決と同様に市長の裁量権逸脱又は濫用などの実体的な違法を認め、控訴棄却となった場合を前提として行ったものであり、その他、損害賠償請求に関して事業者との取り決めをしている事実はありません。また、確約書中に事業者側の損害賠償請求の放棄あるいは請求額の減額などについて書かれていないとの御質間につきましては、「事業遅延により発生する関係者の損失を最小限とするため」との字旬に当該内容が含まれるものと解釈しております。

5.この問題の当事者である貴職と建設部の担当職員1人は、しかるべき責任を取ったとお考えですか?まだ取っていないとすれば、どのように責任を取るお考えですか?

(回答)当職及び建設部担当職員1人の責任、処分等につきましては、いまだ完了しておらず 現在までに、 当該事実関係を明確にし、関係者に対し、正確に説明することに尽くしております。責任の取り方につきましては、本件確約書が及ぼす裁判などの社会的環影響や、政治倫理審査会での審査結果などを踏まえ、総合的に判断してまいります。

6.この問題は、貴職および市のリスクマネジメントの意識の低さと仕組みの不備をも示していると思いますが、貴職はどのようにとらえ,今後どのように対処していくお考えですか?

(回答)この度の行為は、本市への損害賠償の請求を最小とするため、リスク管理の観点を優先し、確約書に署名したものですが、十分な審査を行与ことなく、事務処理の適正を欠き、相手方の性急な要請に対応してしまったことについても、不注意な行為であり、改善しなければならないものと、深く反省しているところであり、また、市民の皆様からの御指摘、御批判に対しましては、真撃に受け止めなければならないと考えております。今後の対処につきましては、透明性が高く、質の高い行政運営を目指し、市民の皆様の信頼の回復に努めてまいる所存であります。

7.今回のような問題の再発防止のためには,どのような対策が必要とお考えですか?

(回答)今回の問題の発端につきましでは、貴殿からの御質問の前項6のとおり、当職のリスクマネジメントの意識が低かったことにあると考えており、このため、再発防止のためには、自治体首長として更なる研鎖と経験を積み、リスクマネジメント意識の高揚に努めてまいる所存であります。また、再発防止のための事務処理上の対策につきましては、伊東市役所文書取扱規程など文書事務の根拠法令や、伊東市職員倫理規程について、改めて職員のー人一人が確認し、徹底するとともに、庁内において、更なる再発防止対策についても研究してまいります。

8.事業者が近日中にあらたな訴訟を起こす可能性もあります。市はこれへの対応を一層強化する必要があると思います。貴職は今後どのように対処していくお考えですか?

(回答)事業者が新たな訴訟を提起した場合の対処につきましては、この度の控訴事件での対応を基本として、請求の内容に応じ適切に対処してまいります。


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