回答:杉本憲也(清和会)

2021年11月14日

1.この問題は、なぜ起こったとお考えですか?

(回答)本件の原因は次の 2 点にあると 、思料いたします。

①基本的な知識不足と想像力の欠如

本件の場合、まず、基本的な知識として、「訴訟係争中の相手方」との関わり方として、訴訟の相手方に代理人すなわち弁護士等がついている場合には、相手方弁護士を介さず、直接相手方と接触することは厳に慎む、という基礎知識が抜けていたと考えられます。このような基礎知識が市長以下全職員に浸透していれば、訴訟係争中に、相手方に対し、積極的に直接連絡を取るという行為をしなかったはずであり、 窓口となった職員も、相手方と直接応対しなかったはずであり、本件を防げたと考えられ ます。また、今、弁護士を介さずに訴訟の相手方に直接接触することが、裁判にどのように影響を及ぼすのか、 確約書を差し出すことが 悪影響となり得るのではないか、という点について、想像力を働かせれば、直接接触すべきではない、 確約書を差し出すべきではない、 という結論を容易に導き出せたはずです。以上より、本件は、知識不足と想像力の欠如が原因の一つであると考えます。

②制度的な欠陥の可能性

本件では、訴訟の相手方との窓口接触にかかるマニュアルが整備されていない、また、市長公室への職員の出入りを記録する仕組みが整備されていない、市長が市長名で対外的に出す文書について、署名の場合のルールが整備されていない、訴訟の相手方に関する事については必ず自らの代理人である弁護士や幹部職員と協議をするなど、本件を防ぎうる仕組みの整備が不十分であったと思料されます。故に、制度的な欠陥が原因の一つであると考えます。

2.この問題の当事者である市長と建設部の担当職員1人は、しかるべき責任を取ったとお考えですか? まだ取っていないとすれば、どのように責任を取るべきとお考えですか?

(回答)市長及び担当職員について、現時点において、しかるべき責任をとったか 否かを判断する事は困難だと考えます。なぜならば、 この間、市議会全員協議会等で説明された事実のみでは不明確な点も多く、より詳細な事実確認を行わなければ、両者 が責任をとったか否か判断するに足りる材料が現時点でそろっていないと考えるからです。なお、少なくとも、両者には、少なくとも説明責任を果たすという面では、 現時点で 十分責任を果たしていないと考えます。従って、両者は、すべての事実を明らかにすべく説明責任を果たし、その上で、仮に違法行為が認められた場合には、適切な手続きに従い、適切な処分等を受けることにより、し かるべく責任をとるべきであると考えます。

3.この問題は、市長および市のリスクマネジメントの意識の低さと仕組みの不備をも示していると思いますが、貴職はどのようにこの問題をとらえ,今後どのように対処していくべきとお考えですか?

(回答)本件は、佃前市長と全く同じ構図で再び権力が暴走した事案だと考え、市政に携わる者として大変重く受け止めております。そのため、本件では何が行われたのか、何故行われたのか、という事実を詳らかにした上で、二度と同じ過ちを犯さないように、市民の皆さまに信頼される伊東市政とするために、議会が率先して内部統制の整備を行うことが不可欠であると考えております。

4.今回のような問題の再発防止のためには,どのような対策が必要とお考えですか?

(回答)再発防止のためには、権力が暴走しないための最低限のルールを制度化することが必要であると考えます。具体的には、 例えば、 市長の意思を表示する方法として、署名するか、記名押印をするという方法がありますが、今回の事件では、市長名で出される文書について、公印を使用した場合にはルールが定められ、市長以外の第三者のチェックを受ける機会 が設けられていますが、市長の署名についてはなんらルールが定められて いませんでした。すなわち、署名について署名前に第三者を介在させるルールが定められていれば、今回の確約書のサインは制度として防げた可能性があります。また、訴訟の相手方との面会方法についても、原則訴訟の相手方との面会はしない、またはどうしても面会が必要な場合には、複数人で対応するなどのルールが定められていれば、たとえ相手方が面会を求めてきたとしても、市当局として、面会を制度的に拒絶 することが可能だったり 、 面会する場合でも、 複数人で対応する ため、制度的に不正の起こりやすい 密室を回避でき、確約書へのサインを防げた可能性もあります。従って、今回の問題に関しては、どのような事実があったのかを明らかにした上で、各事実について不備の有無を検証し、権力の暴走や不正を防ぐための手続きを制定していくことが不可欠であると考えます。

5.事業者が近日中にあらたな訴訟を起こす可能性もあります。市はこれへの対応を一層強化する必要があると思います。貴職は今後どのように市が対処していくべきとお考えですか?

(回答)訴訟対応については、代理人の存在が大きな意味を持ちます。本市では、先の確約書問題を通じて、 訴訟代理人を介さずに相手側と積極的に接触を図るなど、 訴訟代理人との信頼関係 を揺るがしうる事態や、場合によっては、先の訴訟結果に影響を及ぼしかねない事態を生じさせました。 そして、 その根幹には、 先に述べたとおり、 基本的な知識不足と想像力の欠如が あったものと推測されます。つきましては、本市として、事業者から訴訟を提起された場合、全市を挙げて、訴訟代理人を介さない訴訟の相手方との接触について禁止を徹底するなど、訴訟における基礎的なルールの徹底をはじめ、記録や審査の適正な実施などを行い、 市民の生命財産の保護に資する法令に基づいた冷静な行動で、不要に訴訟相手方に有利となる材料を与えないことが肝要であると考えます。そのためには、市長以下全職員が、冷静さを欠くことなく、 自分の行おうとする行為が、どのような結果を生じさせうるのかを十分認識予測した上で実施できる程度までの知識の向上を図 る とともに、 予防策として、最悪のケースを想定した中での手続を定めることが必要であると考えます。

6.市議会はこの問題で6月30日に全員協議会を開き,その後の市議会でも質問をしてきましたが、問題が十分に解明されたとはいえません。市議会が市政と行政のチェック機能を果たすには、百条委員会あるいは少なくとも特別委員会を設置して、問題を解明し対策をとっていくことが必要と考えます。市長は政治倫理審査会(以下,政倫審)にこの問題の審査を要請しています。「特別委員会設置は政倫審の報告が出てからで良い」とお考えの議員の方々がいらっしゃるとも聞いていますが,政倫審はその構成員の選任者が市長であり、権限も限定されていることから、その審査には限界があると考えます。市議会が独自にその権限でこの問題を深く解明し,対策を講じていくことは,市議会の責務であり存在意義を発揮することと考えています。特別委員会設置について,貴職はどのようにお考えですか?

(回答)特別委員会の設置は絶対に必要であると考えます。この点、政倫審は、市長部局に所属しているとは言え、本来であれば第三者性を有し、一定の客観的な判断が期待される所ですが、今回の件に関しては、手続きとして、確約書に対する検証を、政倫審サイドから取り上げたのではなく、当事者である市長から諮問しており、しかも、会議内容を非公開としたことで、制度的に外形上客観性は失われ、お手盛りのリスクを拭えま せん。また、政倫審委員の一人は、住民が伊東市に対して提起している宅造法取消訴訟の原告たる住民側の訴訟代理人の一人であり、確約書には、宅造法許可についての記載もあることから、 外形上客観的で公平な判断が行われるとは言い難い状況にあることなどにも鑑みれば、今回、政倫審が制度的に客観性を持って第三者機関的に機能するとは到底評価できません。加えて、政倫審の審査対象は、市長が政治倫理条例に違反しているか否かのみを判断するに過ぎないことから、 その所管事務上、内部統制の具体的な整備内容に関して提言することには、おのずと限界があります。故に、令和3 年 9 月定例会において、 本件において現行制度の中で唯一第三者性を有する伊東市 議会が 、 議会としての機能を最大限発揮して、市民の皆さんの信頼を得られる伊東市政に生まれ変わ ることができる仕組み作りを行うために 、 特別委員会の設置について、同僚議員 6 名と共に、特別委員会設置の 議案の 発議 9 月 16日提出) をいたしました 。

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