回答:浅田良弘・田久保眞紀(無党派颯)
1.この問題は、なぜ起こったとお考えですか?
(回答)問題が起こった経緯については市議会9月定例会の特別委員会設置に対する賛成討論で述べた通りでありますが、裁判の係争中、控訴審判決の前に、しかも代理人たる弁護士を介さずに「もし裁判で負けた場合」「損害賠償を最小限にする為の努力」などという確約が記された書面に当事者が独断でサインして相手に渡す事例など聞いたことがありません。よって、なぜこのような問題が起きたのかについてはまったく理解に苦しむところです。まさに「何故このようなことが起きたのか」ということを、特別委員会でしっかりと調査するべきであると考えます。
2.この問題の当事者である市長と建設部の担当職員1人は、しかるべき責任を取ったとお考えですか? まだ取っていないとすれば、どのように責任を取るべきとお考えですか?
(回答)特に現状に変化がなく、行政側からは職員がこの問題に関与したことについて報告も釈明もありません。よって然るべき責任を取ったとは言い難い状況であると考えます。どのように責任を取るべきかについては、市長は政治家としての判断に基づき謝罪と反省の弁を述べ、政倫審にその審査を委ねました。よって、今後は市民ひとりひとりがそのことに対して判断をし、投じる一票によって審判を下すべきと考えます。職員に対しては、賞罰のけじめを厳正にし確実に行うこと、即ち信賞必罰の人事によって、負うべき責任があるとすればそれを問われるべきと考えます。
3.この問題は、市長および市のリスクマネジメントの意識の低さと仕組みの不備をも示していると思いますが、貴職はどのようにこの問題をとらえ,今後どのように対処していくべきとお考えですか?
(回答)残念ながら今回、このような確約を書面で事業者に提出したことで、損害賠償のリスクを軽減するどころか「控訴が棄却されたのに河川占用を許可せずに不許可にした=確約書を反故にした」という相手方の言い分を作ってしまった、つまりはリスクを増大させる結果になったと言っても過言ではありません。今後の対策としては、まずは市職員が、何かあった際には専門家や弁護士に直接相談できるような体制を整えることも重要であると考えます。職員を法的なリスクから守ることは市のリスクマネジメントにとっても不可欠な要素です。相談すべき立場でありそれが出来たにも関わらず相談を怠った場合については、前段の回答で述べた通りです。
4.今回のような問題の再発防止のためには,どのような対策が必要とお考えですか?
(回答)信賞必罰の人事制度の確立、すなわち、功績があれば必ず賞を与え、罪があれば必ず罰するという人事を厳正に行い不正の抑止とすること、そしてこのような課題や問題については1人の担当、1つの担当部署にすべてを抱え込ませないことが重要と考えます。個人の倫理感に過度に期待し依存するではなく、権限や担当をあえて分散して独断では事に及ぶことが出来ないような行政内の組織作りやチェック体制の構築が急務ではないかと考えます。
5.事業者が近日中にあらたな訴訟を起こす可能性もあります。市はこれへの対応を一層強化する必要があると思います。貴職は今後どのように市が対処していくべきとお考えですか?
(回答)伊豆メガソーラーパーク合同会社が新たに訴訟を起こす可能性に限定して考えるならば、一審の敗訴から刷新された控訴審の弁護団体制が今後も継続されれば十分に対応は可能と考えます。一審の訴状に次いで控訴理由書を情報公開請求で取り寄せてチェックしましたが、伊東市の提出した控訴理由書の完成度は非常に高く、控訴棄却の結果となったとはいえ伊東市の主張がほぼ認められる内容であり、実質勝訴とも取れる結果に繋がりました。現在の弁護団のメンバーを継続し、細やかな情報提供と入念な相談を続けることで今後の新たなリスクに備えていただきたいと思います。
6.市議会はこの問題で6月30日に全員協議会を開き,その後の市議会でも質問をしてきましたが、問題が十分に解明されたとはいえません。市議会が市政と行政のチェック機能を果たすには、百条委員会あるいは少なくとも特別委員会を設置して、問題を解明し対策をとっていくことが必要と考えます。市長は政治倫理審査会(以下,政倫審)にこの問題の審査を要請しています。「特別委員会設置は政倫審の報告が出てからで良い」とお考えの議員の方々がいらっしゃるとも聞いていますが,政倫審はその構成員の選任者が市長であり、権限も限定されていることから、その審査には限界があると考えます。市議会が独自にその権限でこの問題を深く解明し,対策を講じていくことは,市議会の責務であり存在意義を発揮することと考えています。特別委員会設置について,貴職はどのようにお考えですか?
(回答)特別委員会の設置は当然必要であり、その設置は市議会としての使命であると考えます。政倫審は市長の求めに応じて設置される審査会であり、議会のチェック機能の代わりを果たすものではありません。議会は行政のチェック機能の役割を担うものであり、議員はその為の責務を果たすべきであるという重要な理念が、伊東市議会内で多くの議員に理解されておらず、特別委員会の設置が反対多数で否決されたことに対しては大きな危機感を感じます。